曲名:Sillage
歌手:山本彩
配信/発売日:2026-10-28
作詞:山本彩
作曲:山本彩
編曲:高橋遼
少し沈んだまま戻らないソファと
ぬるくなったコーヒー、開いたままのドア
やけに響く時計の音
あなたが恋しい、まだここに感じる
あなたをこの身に纏って
隙間を埋めるように
今日もひとり眠りにつく
鳴り響くアラーム、散らかったクローゼット
なくなりそうなリップ、混み合う駅前
じらしてくる赤信号
あなたが必要なの、消えてしまう前に
あなたをまた強く刻んで
どこに居てもずっと
ひとりじゃないと感じさせて
目に見えないものでさえもこんなに
愛しく思えるのはあなたのせい
ありふれた日々なんてまるでないみたい
あなたが恋しい、まだここに感じる
あなたをこの身に纏って
隙間を埋めるように
今日もそっと抱きしめていて
Sukoshi shizunda mama modoranai sofa to
Nuruku natta koohii aita mama no doa
Yakeni hibiku tokei no oto
Anata ga koishii mada koko ni kanjiru
Anata o kono mi ni matotte
Sukima o umeru you ni
Kyou mo hitori nemuri ni tsuku
Narihibiku araamu chirakatta kuroozetto
Nakunarisou na rippu komiau ekimae
Jirashite kuru akashingou
Anata ga hitsuyou na no kiete shimau mae ni
Anata o mata tsuyoku kizande
Doko ni itemo zutto
Hitori ja nai to kanjisasete
Me ni mienai mono de sae mo konna ni
Itoshiku omoeru no wa anata no sei
Arifureta hibi nante marude nai mitai
Anata ga koishii mada koko ni kanjiru
Anata o kono mi ni matotte
Sukima o umeru you ni
Kyou mo sotto dakishimete ite
The sofa, still slightly sunken, not springing back
Lukewarm coffee and a door left open
The clock sounds strangely loud
I miss you; I still feel you here
Wrapping myself in your presence
As though filling the space left empty
Again tonight, I fall asleep alone
A ringing alarm, a disordered closet
Lip color nearly used up, crowds outside the station
A red light that keeps me waiting
I need you, before your presence fades
Let me etch you deeply into myself again
Wherever I am, always
Let me feel that I am not alone
Even things I cannot see can be so
Dear to me, and it is because of you
It feels as though no day is ordinary anymore
I miss you; I still feel you here
Wrapping myself in your presence
As though filling the space left empty
Keep holding me gently today as well
還微微凹陷、沒有回彈的沙發
變得溫涼的咖啡,仍敞開的門
時鐘的聲音格外響亮
我想念你,仍在這裡感覺到你
將你的氣息披覆在身上
像要填滿空隙一般
今天也獨自入睡
響個不停的鬧鐘,凌亂的衣櫃
快要用完的唇膏,擁擠的車站前
讓人焦急等待的紅燈
我需要你,在你的氣息消失之前
再次把你深深刻在心裡
無論身在何處,始終
讓我感覺自己並不孤單
就連無法看見的事物,都能如此
令我憐愛,全都是因為你
彷彿再也沒有平凡無奇的日子
我想念你,仍在這裡感覺到你
將你的氣息披覆在身上
像要填滿空隙一般
今天也請輕輕擁抱著我
歌詞の意味
誰かが去ったあとの部屋には、何もなくなるのではなく、使われた物だけが残る。沈んだままのソファ、ぬるくなったコーヒー、開いたドアは、つい先ほどまでそこに人がいたような時間を保っている。時計の音がやけに響くのも、時計が変わったからとは限らない。共にいた時には意識しなかった音が、ひとりになった今は耳に届くのだろう。相手の不在を説明する代わりに、物の状態と聞こえ方を並べることで、語り手が感じている空白が具体的になる。別れの事情や、もう会えない関係なのかは明かされていないため、ここで描かれる寂しさを特定の出来事に決めつける必要はない。
それでも語り手は、相手をまだここに感じている。あなたを身に纏うという表現は、目の前にいない人の気配が、肌に触れるもののように近いことを示す。一方で、隙間を埋めるように眠る姿は、その気配があっても現実にはひとりであることを隠さない。朝になるとアラームや散らかったクローゼットが登場し、部屋の静止した時間から、外へ出なければならない日常へ場面が動く。減りかけのリップや駅前の混雑、待たせる赤信号は、恋しさを抱えていても生活が進んでいくことを伝える細部だ。その途中で消える前にもう一度刻みたいと願う言葉には、記憶さえ薄れるかもしれない不安が重なっている。
終盤で、目に見えないものまで愛しいという気づきが示されると、冒頭の室内の物も、単なる寂しさの証拠ではなくなる。それらは相手との関わりが残る場所でもある。ありふれた日はないという思いは、毎日に特別な事件が起きるという意味ではなく、同じ景色を見る感情が変わったということだろう。最初はひとりで眠りにつくと述べていた語り手が、最後にはそっと抱きしめていてと呼びかける。孤独が解決したと結論づけず、不在の人とのつながりを願う言葉に着地するため、寂しさと愛しさのどちらも消さないまま、その日の暮らしを続ける姿が残る。