曲名:シミレ (feat. 柴田聡子)
歌手:折坂悠太
共演:柴田聡子
配信/発売日:2026-09-09
作詞:折坂悠太
作曲:折坂悠太
タイアップ:さとこはいつも 主題歌
お土産を探してた
満たされぬ夢の中
命は 卵と割れて
白身も黄身も
さびしげに抱いたまま
時々の愛しさを
今だけは真に受けて
あんたの 地獄なところと
かけがえ無いとこが
同じだと知ってから
鬱です
さらばあこがれ
願いますれば
物語を 多く 多く
連れてっておくれ
いいわけないけど
伸びる影が
荒川土手を降りたから
見上げれば青い空
溶けていく飛行機雲の跡
はためいた洗濯物
まばたきをなでる風
うしろから追い越すふたりづれ
草いきれ
煙の立つ彼方
聞こえた 笑う声
開いた 高台の家の窓
舞う砂ぼこり
さらばあこがれ
願いますれば
物語を 多く 多く
連れてっておくれ
いいわけないけど
伸びる影が
荒川土手を降りたから
Omiyage o sagashiteta
Mitasarenu yume no naka
Inochi wa tamago to warete
Shiromi mo kimi mo
Sabishige ni daita mama
Tokidoki no itoshisa o
Ima dake wa ma ni ukete
Anta no jigoku na tokoro to
Kakegae nai toko ga
Onaji da to shitte kara
Utsu desu
Saraba akogare
Negaimasureba
Monogatari o ooku ooku
Tsuretette okure
Ii wake nai kedo
Nobiru kage ga
Arakawa dote o orita kara
Miagereba aoi sora
Tokete iku hikoukigumo no ato
Hatameita sentakumono
Mabataki o naderu kaze
Ushiro kara oikosu futarizure
Kusaikire
Kemuri no tatsu kanata
Kikoeta warau koe
Hiraita takadai no ie no mado
Mau sunabokori
Saraba akogare
Negaimasureba
Monogatari o ooku ooku
Tsuretette okure
Ii wake nai kedo
Nobiru kage ga
Arakawa dote o orita kara
I was looking for a souvenir
Inside an unfulfilled dream
Life cracked open like an egg
Both white and yolk
Still held in a lonely embrace
Those moments of tenderness
Just for now, I take them at their word
The part of you that is hell
And the part that is irreplaceable
Since I learned they were the same
I have felt weighed down
Farewell, longing
If I may make a wish
Many, many stories
Take them along with you
Though it cannot be all right
Because the lengthening shadow
Went down the Arakawa embankment
Looking up, a blue sky
The traces of contrails dissolving
Laundry fluttering
Wind brushing a blink
A pair passing me from behind
The warm scent rising from the grass
Smoke rising in the distance
Laughter I heard
An open window in a house on higher ground
Dust swirling in the air
Farewell, longing
If I may make a wish
Many, many stories
Take them along with you
Though it cannot be all right
Because the lengthening shadow
Went down the Arakawa embankment
我在尋找伴手禮
在無法滿足的夢裡
生命隨卵裂開
蛋白也好,蛋黃也好
仍寂寞地抱在懷裡
那些偶爾湧起的憐愛
至少現在,先認真相信
你如地獄般的那一面
與無可取代的那一面
自從知道它們原來相同
我感到鬱悶
再見了,憧憬
若能許願
把好多好多故事
一起帶走吧
雖然不可能沒關係
因為拉長的影子
走下了荒川堤岸
抬頭望去,是藍天
逐漸消融的飛機雲痕跡
隨風飄動的衣物
輕撫眨眼瞬間的風
從後方超過我的兩人
青草蒸騰的氣息
遠方升起煙霧
聽見了笑聲
高處人家敞開的窗
飛舞的沙塵
再見了,憧憬
若能許願
把好多好多故事
一起帶走吧
雖然不可能沒關係
因為拉長的影子
走下了荒川堤岸
歌詞の意味
満たされない夢の中で土産を探すという出だしには、自分の経験を誰かへ持ち帰ろうとするような身振りがある。しかし次に現れるのは、卵のように割れた命と、その白身も黄身も抱えたままの姿だ。分かれてしまったものを捨てることも、一つに戻すこともできず、寂しさごと持っている。その後のあんたという呼びかけでは、地獄のような部分と、かけがえのない部分が同じだと知らされる。相手の悪いところだけを切り離せば愛せる、という整理が成り立たない。愛おしさを今だけ真に受けるという留保にも、信じたい気持ちと、信じ続ける苦しさが同居している。
憧れに別れを告げながら、多くの物語を連れて行ってほしいと願うところには、手放すことと残したいことの両方がある。続く、いいわけないけどという言葉は、その別れを美しく納得した結末にしない。影が伸び、荒川の土手を降りるという動作だけが、気持ちを解決しないまま時間と場所を動かしていく。影の持ち主を特定する説明はないため、誰が誰と別れたのかを一つの筋書きに固定するより、立ち去る気配そのものを読む方が自然だ。地獄と大切さが分けられなかったように、未練と前進も、この場面ではきれいに分かれていない。
中盤では、青空、消える飛行機雲、洗濯物、風へと視線が外へ広がる。後ろから追い越す二人連れや、遠くの笑い声は、語り手の事情とは別に他人の生活が続いていることを知らせる。草いきれや舞う砂ぼこりは、その風景を遠い理想ではなく、匂いや肌触りを持つ場所にする。高台の家の開いた窓も、閉じた苦しみの外側に暮らしがあると感じさせるが、それで悲しみが消えたとは書かれない。景色を挟んだ後も、憧れへの別れと、いいわけないという言葉は再び戻る。変わったのは問題の答えではなく、苦しみだけで埋まっていた視野に空や人や風が入ってきたことだ。割れたものを抱えたままでも、世界の中を移動することは続く。その同時性が、河川敷の具体的な風景に託されている。